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楽屋裏話

  • ★寄席・協会の関係★(番外篇 ・春風亭柳昇・その2) ~社団法人落語芸術協会事務局長 田澤 祐一~

更新日2008年3月29日

パート2

さて、前回の続きです。
前日から移動して着いた先は愛媛県松山市。11時過ぎには現地入りした。
昨日はカツ丼で苦労したが、今日は何でも来い!!
「師匠、お昼はどうしますか?皆で一緒に食べに行きますか?」
「そうだね、皆で行こうかね」
12時少し前に街に出ていろいろな店をのぞきながら歩く。
「どうかね、昨日の夜と朝は魚料理だったから洋食は」
心の中で「貴方だけは、昨日の昼ご飯がカツでしょ・・フン」
「ここはどうでしょう?、いろいろなメニューがありますよ」
「ここでいいね。皆もいいかな?」
一同賛成。
「師匠何にしますか?」
「そうだね~ここの所食べ過ぎだから・・軽く・・」
「サンドか何かにしますか?」
「サンド?外人の食べ物だね。あ、これにしようかな、これ!」
「何ですか?」
心の中で、「カツ丼でもステーキでも玉丼でもそばでもOKですよ。」
「これね、お子さまランチがちょうどいいね」

「お・こ・さ・ま・ら・ん・ち」
な、な、なんと「お子さまランチ・・・・」
席を取り、その他の方々の注文を聞いてから食券を買いに。
「え~とカレーライス2つに・・・・・あと、お子さまランチ1つ」

店員さん、皆のほうを見て?「お子さまいがいらしゃいますか?」
「・・・・・あの」
やはり、子どもじゃないとまずいか
店員「お幾つですか?お年は?」
「あの、あそこのご老人なんですが、お腹を少々壊してまして・・・何とかお願いし たいのですが?ダメでしょうか?お願いします。」
店員「そうですか?本当は出来ないんですが・・判りました。結構です。」
そのまさにその時。

「お~い田澤君、ビール2本!!」
「ビ、ビ、ビール?」お腹壊したって言ったのに・・・真っ青
店員「あの?お子さまランチのお客様からビール2本と言ってますが?どうします?」
「お願いします。」
トホホ、カツ丼の次はお子さまランチ・・ビール・・
程なく一番先に「お待ちどう様」と、お子さまランチとビール2本が届いた。
師匠しばしランチを見て
「あれ~?」
私、こころの中で、昨日も確かカツレツの時に聞いたような「あれ~」
「何だねこれ」皆注目していると?
「ご飯の上の旗!昔は必ず日の丸だったのに!これスイスの旗だね・・・」

旗・・・・旗が・・・スイス?

「時代が変わったね、日の丸が外国の旗に・・戦争に負けちゃダメだね。」
あの~昨日は機関銃から落語。今日はランチの旗から敗戦とは。

教訓「旅の昼ご飯は駅弁か現地に頼み弁当にする。」
但し、柳昇師匠には本当にお世話になりました。決して今回の一件もイヤだった訳では無く、お昼の出来事で公演そのものは大成功で、夜食は柳昇師匠の希望で、毎回楽屋に弁当を用意して置くだけでよく大変助かりました。また、この公演の旅の最中に2度公演終演後皆で打ち上げをしたのですが、2度とも柳昇師匠がすべて払ってくれ、途中で必ずいつもの決めゼリフ「悪いね表に女待たしてるから」とお帰りになる。送ろうと立ち上がると「言ったろ、女待たせてるから邪魔だ」そして私に、「若いのだけでやれと」お金を渡してくれた。 心遣いをしてくれる優しい師匠でした。

次回は柳昇師匠の名言集です。

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