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楽屋裏話

  • ◆◆芸協浪漫2◆◆ ~社団法人落語芸術協会事務局長 田澤 祐一~

更新日2007年8月16日

前回からの続き(其の2)

救世主現るの前に、協会に入る前の経緯でどうしてもお話して置かないと行けないのが、まったく協会に入る話がないころ、昭和58年春ごろと記憶しているのですが?
北区梶原(王子)に住んでいたので都電の梶原から国鉄王子駅乗り換えで前の職場(繊維業のニット糸の総合卸メーカー)に通っていた関係で王子駅周辺で飲食をよくしていました。(独身で暇)1番通ったお店はカミヤ(串焼き)王子店で(これも驚いたことにカミヤ上野本店の梶本社長は芸協の賛助会員だった)新装オープン(確か昭和57年秋)の2日目から2日に1回くらいのペースで通っていました。そこに常連の噺家(故春風亭扇枝師匠)が毎日のように来ていました。王子店の経営は梶本社長の長女千代ママ(旦那さんは新橋店の店長)で美人で優しい方で2階が住居になっており家庭的な雰囲気のお店でした。私は名前(祐ちゃん)と呼んでもらっていて、たまに遅くに寄ると子どものために作った夕食を一緒に食べさせてもらったり本当にお世話になりました。 そんなある日、会社を出抜けで開店直後に入った私に、千代ママがカウンターの一番奥に座りなさいと言うので初めてそこに座ったのです。店はテーブル4人掛けが2つにカウンターが10人くらい座れる規模でそんなに広くはないのですが何故か奥の席はいつも空いていたような? ホッピーと串焼きを頼みくつろいでいると2~3人常連も来始め雑談をしていると、真っ赤なシャツをきた扇枝師匠が入ってきて1つ席を空け隣りに座りました。それまで何度か店で会ってはいるものの話をほとんどしたことがないので、軽く会釈して前を向いているとおもむろに隣りの座席に掛けていたスーツの上着を、水打ちしてある床に放り投げたのです。『何するんだ!』「邪魔なんだ」『邪魔なら邪魔と言えどかすから!』「邪魔だからどけた」『上着にシミが付いたじゃないかどうしてくれるんだ!!』「弁償してやる100万か200万か」『バカにしやがって表でろ!!』。こちらが一方的に文句を言っているが、師匠は黙り憮然としていた。他の常連客や千代ママや大島さん(現在王子の神谷で独立してシマと言う美味しい串焼き屋を経営)が止めてくれたので喧嘩にはなりませんでしたが遺恨は残ったのでした。

師匠にしてみればカミヤは自分が一番の顔であり、新参の私が奥の席に座るのが許せなかった様で、因縁を付けたのが真実だったようです。 実はこの店には私の友人達で、神輿同好会の気が荒い仲間連中もちょくちょく来るので、この騒ぎが知れると後々面倒な事になるのが嫌なので、この一件以来こちらから避けるようにするのですがこれが大変!!。 まず通りに面している小窓から覗くと大島さんが串を焼いている、アイコンタクトで首を振るとダメ(来ている)、これがほとんどで(この師匠は仕事してるのかな?)そして気づかれないように、そっと小窓を開けて後30分位で帰るから、つなぎに宝仙(この店も私の常連店で現在も王子駅そばにあり低料金で美味しい人気店)に行っててよ、帰ったら宝仙に電話するから・・・なんの事はないカミヤに寄るために、まず別の居酒屋でつなぐ羽目に!(これ何回か数え切れないくらい)。しかも悪い事に師匠も宝仙の常連だからカミヤの帰りに寄ることが多い。宝仙に電話が来ると『後で寄るので勘定はその時ね!』と慌てて出る、(カミヤからだと徒歩1分位で着く)しかも遠回り(師匠が歩いて来る道を避け)してカミヤへ、今度は宝仙から師匠が帰ったと電話が入り勘定を払いに・・・何でカミヤへ串焼きを食べに行くのにこんな苦労しないと行けないのか・・・それに宝仙に居る時も電話が鳴る度に(別の用件の電話がかなり架かる店なので)腰が浮き、落ち着いて飲めもしないんですよ!!
これを読んで下さってる方の中で、何で先にカミヤに電話しないのと疑問に思う方もいると思いますが?。師匠が座っているカウンターの奥の席の目の前に電話が置いてあるんです。それに店が混んで忙しいことが多いから師匠が気を利かせて電話を取ることが多いんです。大島さん・宝仙ママに番度ご迷惑をおかけしましたが。これが最善の対策と皆さん協力して下さいました。本当に申し訳ございませんでした。
そして、まさかその2年後に師匠が所属する協会事務局に行くことになるとは当時考えもしなかった!!!!!。・・・・・・

◆◆芸協浪漫3◆◆に続く

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