芸協トピックス

楽屋裏話

  • ◆◆芸協浪漫◆◆ ~社団法人落語芸術協会事務局長 田澤 祐一~

更新日2007年7月30日

ホームページリニューアルに伴い、ここでは、演芸界(落語界)を取り巻く近況や自分自身の経験談などを書かしてもらいたいと考えております。。

寄席の近況について 

平成13年12月7日の文化芸術振興基本法の公布により、
その第十一条(芸能の振興)国は、落語・講談・浪曲・漫才・・・等(伝統芸能を除く。)芸能の振興を図るため、これらの芸能の公演等への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。
以上の成立に伴い平成14年度から文化庁の支援(重点支援・人材育成事業支援・海外公演支援等)が受けられるようになった。これにより寄席割(給金)に支援額をプラスして支払うようになり、少なくとも赤字覚悟での出演は無くなった。
寄席に出ると赤字?別に特別に主任(トリ)を取って、仲日に祝儀やご馳走をしての持ち出しでなく(これは本当に赤字)、寄席に通う交通費で赤字の出演者がいました。
それでも、芸人である以上寄席には出たいと皆考えている。協会としては出来るだけ平等に寄席出演を回してあげたいのですが、なかなか考えているようには行きません。お客様あっての寄席であり番組(顔付け)作成上お席亭のご意見もあり平等は難しい問題です。 新宿末広亭・浅草演芸ホール・池袋演芸場のお席亭は協会の立場も十分に理解し、若手にはチャンスをベテランにはそれなりに出番を作って頂いているが、顔付け(5・10日興行)とは本当に神経を使うものなのです。只、協会の立場や考えより、お客様に満足して頂くように番組作りをするのは当然で、そのために今後も最大限努力して行きます。

【 私的な考え寄席とは 】

寄席それは最高のマンネリズムで年中無休(末広亭・池袋演芸場は暮れに数日休む) しかも、低料金(昔は床屋と同額)で大体12:00から21:00まで楽しめる最高の娯楽場だと思う。マンネリとは悪い意味ではなくスタイルを変えない、逆に言えばこだわりをもって続けることで大衆芸能の確たる文化の象徴であると考えている。
但し、その良さを広めることがなかなか出来ず、苦しい時期があったのも事実で、今後は寄席・協会が協力して広告宣伝に力を入れ、更に番組作りを充実させて行くよう努力し大正から昭和に誇った隆盛をもう一度再現したいと思っています。

私と芸協(どうでもいい話ですが・・・)

私は昭和60年3月1日付けで正式に社団法人落語芸術協会の事務局に就職致しました。当時の会長は桂米丸師匠(現最高顧問)副会長は故春風亭柳昇師匠の体制で協会員も現在の5分の3程で140名ぐらいでした。初めて協会事務局(西新宿7丁目)に行ったのが昭和59年11月でその足で後楽園ホール(当時お笑いスター誕生の収録)米丸会長にお会いしに行きました(米丸会長は審査員)。何しろ訳も分からず前任の故荻原事務局長に連れられ、只々頭を下げてた記憶と、やはり故人になった内海好江先生(審査員)からしっかり頑張りなさいよ!と言われたことしか覚えていないのです。それから前職の整理のかたわら休みの日に5~6回事務局に行き、2月中席に1日だけ末広亭に行き客席で鑑賞しました(客席で椅子に座って聞いたのはこれが最後で現在まで約23年経つ)さて、 3月1日は末広亭の隣りの楽屋の喫茶で荻原さんと12時に待ち合わせです?事務所ではなく?その日は、5代目三遊亭圓遊師匠の襲名挨拶廻りの日で、またまた訳も分からず車に乗せられ(運転手は三遊亭金遊師匠当時は二ツ目)放送局や新聞社を何件も廻って終了。
荻原さんから今日はこれで帰っていいよと言われたのは夜8時ぐらいで何しろ疲れた~会話も無く黙って師匠達の話聞いて車に乗ってですからね。翌日は寄席の楽屋に11時に来なさいと言われ末広亭に(初めて楽屋に入る訳で) 来いったってどうやて入るの??
事務局に電話!「荻原さんどうやて入ったらいいのでしょうか?」あ~「おはようございます」と入れば桂 竹丸師匠(当時立て前座)に言ってあるから。うー来て紹介してくれないの?しょうがない勇気を出して「おはようございます(小声)」楽屋はしーん(ばつ悪)そこへ竹丸さんが「あなたですか?今度事務局に入った方は、私は米丸の弟子の桂竹丸と申しますよろしくお願いします。」これが楽屋での記念すべき最初の会話!

この桂竹丸さん当時は現在の半分ぐらいの体重?とにかく真面目な印象で楽屋入りする師匠連に事務局にお入りになった田澤さんですと紹介してくれました。昼席は無事に何事もなく終了と言いたい所ですが!実は楽屋の座る位置が判らずてんてこ舞い状態。一般の方は楽屋には滅多にはお入りにならないからご存じ無いでしょうが、暗黙の了解で座る位置が決まっているのです。末広亭の場合、一階は主に落語家・二階は色物さんと決まっています。特に一階は夏・冬に関係なく火鉢が置いてありその廻りに座る方は真打でも役員クラスの偉い方たちで滅多に若手は座らない状態。特に新参の私などは座るどころか居場所も分からず立っていれば邪魔(前座さんの)だし、狭い楽屋をあっちこっちうろうろして紹介される時だけ座ってご挨拶してまた立っての状態。これには困った!そんな時救世主現る・・・以下次回に(救世主?・入る前の経緯?実は所属のベテラン落語家と・・・編)

写真 社団法人 落語芸術協会事務局長  田澤 祐一

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